2009 年 70 巻 6 号 p. 1766-1771
症例は78歳,女性.下血を主訴に当科に入院した.入院後検査で下部直腸原発のGISTと診断されたが長径10cm超で小骨盤腔を占拠していたため人工肛門造設後メシル酸イマチニブ(以下イマチニブ)の投与を行った.投与後3カ月で腫瘍径は3cm程度まで縮小した.投与後23カ月で腫瘍からの再出血を認め腫瘍の切除術と人工肛門閉鎖術を施行した.切除不能の直腸GIST症例に対しイマチニブの投与は腫瘍の縮小により切除可能となる場合もあり有効な治療になりうることが示唆された.