日本臨床外科学会雑誌
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症例
残胃に発生した早期小細胞癌の1例
奥田 俊之原 拓央野澤 寛増田 信二大村 健二
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キーワード: 小細胞癌, 早期胃癌, 残胃
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2009 年 70 巻 9 号 p. 2686-2690

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抄録

今回われわれは残胃に発生した早期小細胞癌の1例を経験した.患者は80代後半の男性.上腹部不快感を主訴に当院を受診.上部消化管内視鏡検査にてBillroth-II法で再建された残胃の小弯後壁に粘膜下腫瘍様の0-IIa+IIc病変を認めた.隆起の立ち上がりはなだらかで,中心の陥凹部以外は正常粘膜に覆われていた.生検組織の免疫染色ではCD56が強陽性,Chromogranin A,Synaptophysinが弱陽性であり胃小細胞癌と診断された.残胃全摘術およびD1+βリンパ節郭清,R-Y再建を施行した.腫瘍は類円形で胞体の乏しい異型細胞がシート状,胞巣状から索状の配列を示し,粘膜下層まで浸潤していた.第1群リンパ節に転移を認めた.胃小細胞癌は比較的まれな組織型で,早期からリンパ節転移や肝転移をきたす悪性度の高い腫瘍である.本例では10カ月前の内視鏡で病変初期の粘膜下腫瘍様の像が捉えられており,胃小細胞癌の急速な増大が示唆された.

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© 2009 日本臨床外科学会
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