日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔内膿瘍をきたし緊急手術を行った小腸GISTの1例
岡本 隆英高橋 誠野口 芳一
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2009 年 70 巻 9 号 p. 2701-2706

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抄録

症例は55歳,男性.下腹部痛を主訴に当院受診した.腹部造影CT検査行い下腹部に小腸腫瘍を認めた.入院精査を勧めたが,症状が軽かったため帰宅し以降受診しなくなってしまった.3カ月後下腹部痛で再度当院受診した.腹部所見は下腹部中心に腹膜刺激症状を認め,未血生化所見では高度の炎症反応を認めた.CT検査では小腸腫瘍が最大径5cmに増大,周囲にfluidを伴っていた.緊急手術を施行,小腸腫瘍の穿孔による腹腔内膿瘍であった.術式は小腸部分切除ドレナージを行った.病理所見では,腫瘍は紡錘状の細胞からなり,免疫染色ではc-kit陽性CD34陽性であった.小腸GISTと診断された.消化管穿孔・腹腔内膿瘍を来した小腸GISTの報告はあるが,CT画像で病巣の変化を観察できたのは稀である.若干の文献を加えて報告する.

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© 2009 日本臨床外科学会
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