2009 年 70 巻 9 号 p. 2747-2750
患者は57歳,男性.主訴は便秘.他院にて大腸内視鏡検査を行い,直腸癌を疑われ,紹介入院となった.肛門縁近傍に半周性の2型様の潰瘍性病変を認め,生検所見では紡錘形細胞の増殖を認め,間葉系の腫瘍を疑った.腹腔鏡補助下腹会陰式直腸切断術を施行した.組織検査では,核異型を伴う紡錘形腫瘍細が柵状配列をしながら,粘膜下層から外膜にかけ増殖し,CD34とc-kitは陽性であった.腫大した直腸傍リンパ節からも同様の腫瘍細胞を認め,リンパ節転移を合併したGISTと診断した.術後2年1カ月後に多発性肝転移,肺転移再発をきたし,メシル酸イマニチブの内服を開始したが,術後4年6カ月後に永眠した.