日本臨床外科学会雑誌
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症例
診断に難渋した感染性内腸骨仮性動脈瘤の1例
岡野 高久藤原 克次増田 慎介伊東 正文
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2010 年 71 巻 10 号 p. 2543-2546

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抄録

症例は63歳,男性.主訴は発熱,右腰背部痛,右下肢腫脹.入院時腹部CTで右外腸骨動脈周囲に血腫を認めたが血腫内に造影剤の漏出は認めなかった.入院後4日目の腹部CTで血腫内部に造影剤の貯留と右内腸骨動脈からの造影剤の漏出を認め,感染性内腸骨仮性動脈瘤と診断し緊急手術を施行した.手術は可及的感染巣デブリードマンと非解剖学的血行再建を施行した.まずFemoro-femoral cross-over bypass術を行い,ついで腹部正中切開アプローチで右総腸骨,右外腸骨,右内腸骨動脈を結紮閉鎖した.瘤は右内腸骨動脈の仮性動脈瘤であったが明らかな膿汁はなかった.術中採取した血腫および瘤壁からサルモネラ菌が検出された.本例のように不明熱などの非特異的な症状を呈し早期診断に難渋する症例では常に感染性動脈瘤の存在も念頭に置いて,経時的にCT検査を進めて可及的早期に診断を行うことが重要である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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