日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
胃穿通魚骨が胃壁へ再刺入した1例
平出 貴乗寺田 博文斉藤 貴明中村 昌樹
著者情報
キーワード: 魚骨, 胃穿通, 慢性炎症
ジャーナル フリー

2010 年 71 巻 10 号 p. 2592-2596

詳細
抄録

症例は2005年に左乳癌に対し胸筋温存乳房切除術を施行後,外来通院中の74歳女性.定期検査にて施行した胸部単純CT検査にて胃壁から胃壁外と思われる部位に線状異物を認めるも,検査時には異物の存在を指摘できず,症状がなかったため帰宅した.10日後の定期受診時に異物の存在に気付き,再度CT検査を施行した.前回と同部位に線状異物を認めたため,上部消化管内視鏡検査を施行するも異物は確認できず,胃体下部小弯後壁に不良肉芽を認めるのみであった.CT検査と合わせて異物による消化管穿通と診断し手術を施行した.術中所見では胃体下部小弯から前庭部後壁にかけて一度胃角を貫いた状態で再度胃壁へ穿通している50mmの魚骨を確認した.胃壁外は肉芽組織に覆われており腹腔内への露出は認めなかった.本症例のように異物が胃内から腹腔内へ穿通後,再度胃へ穿通した症例報告は存在せず,きわめてまれであり文献的考察を加え報告する.

著者関連情報
© 2010 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top