2010 年 71 巻 11 号 p. 2810-2815
症例は22歳,女性.左乳房腫瘤を主訴に当科受診した.左乳房下方に可動性の乏しい約3cm大の硬い腫瘤を触知した.マンモグラフィではカテゴリー4であり,超音波所見では八頭状に発育する,境界不整で内部不均一な低エコー腫瘤として描出され,乳癌を強く疑った.針生検を施行したが,確定診断は得られず,局所麻酔下に腫瘍の部分生検術を施行した.病理検査にて結節性筋膜炎と診断されたが,患者が残存腫瘤の摘出を希望したため,全身麻酔下腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は大胸筋より発生していると思われ,一部は胸筋に固着していた.現在,術後約6カ月が経過しているが,再発の徴候は認めていない.