日本臨床外科学会雑誌
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原著
食道癌術後経過におけるchemiluminescence法を用いた好中球活性酸素放出能測定の意義
國安 哲史岩沼 佳見梶山 美明鶴丸 昌彦
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2010 年 71 巻 2 号 p. 344-353

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抄録

Chemiluminescence法(CL法)を用い食道癌,胃癌手術患者の周術期末梢血好中球活性酸素放出能(CL値)を測定した.術前化学もしくは化学放射線療法未施行食道切除患者(食道術前非加療群)のCL値は胃切除群と比し術後有意に高値となり,食道切除は胃切除と比して高侵襲性である可能性が示唆された.また術前加療群,非加療群の比較において手術を加療から4週間後に行ったところ周術期中両群間に有意差を呈しておらず,この時期には好中球機能の改善に伴い免疫抑制の影響がなく安全に手術が行いうる可能性が示唆された.さらに食道切除群のうち術後感染併発群のCL値は非感染群と比し第2病日以降有意に高値で推移し,白血球(WBC)やC-reactive protein値(CRP)は感染群,非感染群間に有意差を呈さなかった.従ってCL法は食道切除後周術期感染症を早期に検知する有益な指標になると考えられた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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