日本臨床外科学会雑誌
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症例
骨盤内神経鞘腫の1例
平山 一久林 忠毅田村 浩章金井 俊和池松 禎人西脇 由朗長谷川 進一小澤 亨史
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2010 年 71 巻 4 号 p. 1066-1070

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抄録

症例は72歳,男性.下血を主訴に当院を受診し,腹部超音波検査にて偶然骨盤内に境界明瞭な腫瘍を発見された.CT検査で腫瘍は仙骨前面右側に位置し,充実成分と嚢胞性分の混在する腫瘍で周囲組織への浸潤はなく,MRI検査ではT1強調画像で低信号,T2強調画像で不均一な高信号だった.確定診断が得られなかったが腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は仙骨前面に強固に癒着しており鋭的に切離した.病理学的に腫瘍は良性変性型神経鞘腫であった.術直後より右下腿のしびれを訴えたが2カ月程度で軽快した.
神経鞘腫は特異的な症状や特徴的な画像所見がないため良悪性を含めた術前診断は困難である.また,摘出に伴い神経障害を惹起することがあり手術に際しては充分なインフォームド コンセントが必要である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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