日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃局所切除後に発症したprotein S欠乏症を伴う上腸間膜静脈・門脈血栓症の1例
尾曲 健司尾原 秀明才川 義朗小野 滋司松本 賢治北川 雄光
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2010 年 71 巻 5 号 p. 1324-1327

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抄録

58歳,男性.CT検査にて胃穹隆部に約5cm大の腫瘤を指摘された.上部消化管内視鏡上,胃粘膜下腫瘍の診断にて,2008年4月当院紹介となった.同年9月腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.術後経過良好であったが,第7病日に背部痛と炎症反応の上昇を認めた.CT検査にて,脾静脈に血栓形成を認めたが,保存的加療にて症状軽快したため,第13病日に退院となった.第18病日に突然の上腹部痛を認め,緊急CT検査を施行したところ,上腸間膜静脈から肝内門脈に至る著明な血栓形成と小腸のうっ血性壊死が疑われたため,緊急手術を施行した.うっ血性壊死部を含めた約140cm長の空腸を切除し,門脈本幹の血栓摘除を試みたが,再開通は得られなかった.術後経過良好で第28病日に退院となった.手術前に採取した血中protein S活性値は低下しており,本症例はprotein S欠乏症に伴う上腸間膜静脈・門脈血栓症と考えられたので,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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