2010 年 71 巻 6 号 p. 1659-1662
症例は79歳,女性.下腹部痛,両下肢大腿部痛を主訴に当院受診.CTにて両側閉鎖孔ヘルニアを認め,緊急手術を施行した.左閉鎖孔に嵌頓した小腸が穿孔しており,小腸部分切除・ヘルニア門単純閉鎖術を施行した.術後第9病日に左大腿部痛を訴えられ精査したところ,閉鎖孔内に遺残膿瘍が認められた.エコーガイド下に経皮的ドレナージ術を施行し軽快した.閉鎖孔ヘルニアはCT等の画像診断の発達により,近年報告例が多い疾患となったが,その手術方法はまだ完全には確立されていない.今後,遺残膿瘍を考慮した術式の選択が必要であると考えられた.