日本臨床外科学会雑誌
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症例
Hardy手術12年後にS状結腸癌を発症した先端巨大症の1例
杉本 貴昭王 孔志岡田 敏弘佐竹 真岡本 共弘藤元 治朗
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2010 年 71 巻 8 号 p. 2076-2080

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抄録

先端巨大症は下垂体腺腫より成長ホルモンが過剰分泌される比較的稀な疾患である.大腸や乳腺,前立腺などの悪性腫瘍を合併することが近年報告されている.症例は71歳の女性で,12年前に先端巨大症,下垂体腺腫に対してHardyの手術を施行された.術後通院は自己にて中断していた.排便時出血を認めたため,近医受診.痔疾を指摘され加療を受けたが,症状が続くため消化管を精査されたところ,S状結腸に1型腫瘍を認め,加療目的にて当科紹介となった.全身精査にてびまん性甲状腺腫大を認めるのみで転移所見はなかった.S状結腸切除を行い,良好に経過した.内分泌機能検査では成長ホルモンおよびIGF-1が高値であり,下垂体腺腫切除後,成長ホルモン過剰分泌抑制が不十分であった先端巨大症に合併したS状結腸癌と考えられた.ブリモクリプチンの投与を開始し,外来にて経過観察を行っている.

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© 2010 日本臨床外科学会
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