日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹部大動脈瘤手術中にセボフルランによる悪性高熱を発症した1例
中村 英司藤野 隆之
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2010 年 71 巻 9 号 p. 2291-2295

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抄録

今回われわれは,セボフルランによると考えられた待期的腹部大動脈瘤手術中に発症した悪性高熱症例を経験した.医学中央雑誌にて「悪性高熱」・「セボフルラン」をキーワードに全年度で検索するとわずか4例の報告のみであった.よって,この非常に稀な疾患に対して経過および若干の文献的考察を加え報告する.症例は79歳,女性.腎動脈直下の腹部大動脈瘤に対して,セボフルランによる全身麻酔下で,待期的に腹部大動脈人工血管置換術・左腎動脈再建術を施行した.手術開始3時間後より,まず呼気終末二酸化炭素濃度の上昇を認め,その後,体温は39℃に達し,15分間で0.5℃以上の発熱上昇を認めた.他の諸症状も存在し悪性高熱と診断した.ダントロレンを使用し,これらの異常データは速やかに改善し,救命しえた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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