日本臨床外科学会雑誌
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症例
急性混合性白血病の化学療法による骨髄抑制期に発症した急性虫垂炎の1例
三宅 邦智瀬下 明良松岡 あづさ木山 智桐田 孝史亀岡 信悟
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2011 年 72 巻 1 号 p. 103-106

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抄録

症例は42歳,女性.急性混合性白血病に対して寛解導入療法としてHDAraC(2g×2×6日)+MIT療法を行っていた.8日目,右下腹部痛,38.8℃の発熱を認めた.精査を行い,急性虫垂炎の診断にて緊急手術を施行した.本症例では敗血症のリスクを考慮し,感染源除去目的にて外科的治療を選択した.術後,手術による合併症(出血,腹腔内膿瘍など)は認めず,良好な経過を得た.本症例のように寛解導入後に早期発症の急性虫垂炎に対して外科的切除は有効な治療のひとつと考えられた.今回急性混合性白血病の化学療法による骨髄抑制期に発症した急性虫垂炎の1例に,手術を行い良好な経過を得た.今後も消化器外科医にとって白血球病加療中の急性腹症に遭遇した際には手術治療の判断はより重要であると考えられた.

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