日本臨床外科学会雑誌
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症例
石灰化を伴った胆嚢癌の1例
戸井 博史森田 恒彦中村 貴久村永 誠一長谷 泰司
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キーワード: 胆嚢癌, 石灰化, 石灰化癌
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2011 年 72 巻 1 号 p. 163-167

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抄録

陶器様胆嚢には胆嚢癌が合併する報告がされているが,胆嚢癌自体に石灰化がある石灰化癌の報告は稀である.症例は80歳,女性.認知症で近医の精神科病床に入院中に背部痛の訴えがあり当院紹介された.腹部超音波検査で胆嚢底部に内部に高エコー点を伴う限局性壁肥厚と胆嚢内に結石を認めた.単純CTで壁肥厚部内部に高濃度域を認め,造影CTで壁肥厚部には造影効果が認められた.腹部MRI検査ではT1強調画像・T2強調画像ともに低信号を呈していた.悪性腫瘍も疑われたが認知症状が強いため腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的には漿膜下層浸潤を伴う腺癌を認め,低分化から中分化型管状腺癌優位で一部乳頭腺癌・高分化管状腺癌を認めた.腫瘍腺管内に多数の壊死がみられ,壊死部の一部に石灰化が認められた.癌のない胆嚢壁には石灰化は認められなかった.術後1年経過し再発なく経過している.

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© 2011 日本臨床外科学会
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