日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
悪性リンパ腫が疑われた脾梗塞の1例
蜂須賀 崇武内 拓西脇 英敏森田 敏裕
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 72 巻 10 号 p. 2649-2653

詳細
抄録

症例は46歳,男性.3カ月前より全身倦怠感と微熱を認めていたが左側腹部に疼痛が出現したため当院を受診した.腹部造影CTで脾下極に造影効果のない腫瘤型病変を認め,同部位が超音波検査で低エコー像を呈することより悪性リンパ腫を疑った.心臓超音波検査では大動脈弁閉鎖不全と診断,微熱が続いていることから感染性心内膜炎も疑われたが血液培養検査では陰性であった.FDG-PET/CTを施行したところ脾下極と左鎖骨上リンパ節に異常集積を認めた.脾悪性リンパ腫のリンパ節転移を疑い,まず局所麻酔下に左鎖骨上リンパ節の摘出を行ったが,病理組織学的診断は炎症による過形成であった.脾腫瘤の診断のため脾臓摘出術を施行したところ,病理組織学的検査により脾梗塞と判明した.脾梗塞は心疾患,血液疾患などの基礎疾患に起因するものが多く,自験例でも大動脈弁閉鎖不全症や感染性心内膜炎との関連が疑われた.

著者関連情報
© 2011 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top