日本臨床外科学会雑誌
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原著
胆嚢摘出術後における総胆管結石発症のリスク評価
近藤 昭宏浅野 栄介橋本 希諸口 明人岡田 節雄
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2011 年 72 巻 2 号 p. 287-293

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抄録

目的:胆嚢摘出術後の長期合併症として最も頻度が高い総胆管結石症の発症を予測する明確な指標はない.胆嚢摘出術後の胆管拡張が総胆管結石発症の危険因子となるかを検討した.方法:胆嚢摘出術後に総胆管結石を発症した10例を結石群とし,術後3年以上経過観察され胆管結石を認めなかった64例を対照群とした.術前後で経時的に総肝管径を計測し両群を比較した.結果:術前の総肝管径は両群間に有意差はなかった.総肝管径は両群とも術前,術後1年目と3年目以降と経時的に拡張していた.術後1年目では結石群が1.43±0.36cm,対照群0.80±0.19cmで,結石群において有意に総肝管径が拡張していた(p<0.01).とくに,術後1年目で総肝管径が1.3cm以上あった7例は全例,その後総胆管結石症を発症していた.結語:胆嚢摘出術後の胆管拡張は総胆管結石発症の危険因子であると考えられた.特に術後1年目の総肝管径が1.3cm以上ある症例では注意が必要である.

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