日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に治療したsegmental arterial mediolysisによる未破裂右胃大網動脈瘤の1例
西田 保則三澤 賢治三島 修田内 克典樋口 佳代子
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2011 年 72 巻 2 号 p. 351-354

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抄録

症例は56歳,女性.左側腹部痛にて近医を受診,経過観察されていたが,その後も左側腹部の鈍痛と上腹部の圧迫感が持続するため,紹介となった.CTで65×55×75mmの腸間膜血腫と径35mmの右胃大網動脈瘤を認めた.CT-angiographyで他の腹部血管に動脈瘤は認めなかった.血腫による腹部症状は改善せず,腹腔鏡下に血腫除去と動脈瘤切除を行った.病理組織学的には動脈瘤にsegmental arterial mediolysis(SAM)の所見を認めた.胃大網動脈瘤は稀な疾患であり,破裂してから発見されることが多いが,近年では偶発的に発見される症例も増加している.今回われわれは,偶然発見された未破裂右胃大網動脈瘤に対して,腹腔鏡下に治療した症例を経験したので報告した.未破裂胃大網動脈瘤の手術適応に関して,明確に決まったものはないが,その低侵襲性から,積極的に腹腔鏡下手術を考慮すべきと考えられた.

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