日本臨床外科学会雑誌
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症例
複雑膵胆道奇形を伴う多脾症候群に発生した早期胆管癌の1例
福島 正之森田 高行藤田 美芳岡村 圭祐山口 晃司市村 龍之助
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2011 年 72 巻 2 号 p. 466-471

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抄録

多脾症候群は比較的稀な先天性疾患で多彩な心血管系・胸腹部臓器の形態異常を特徴とする.今回われわれは,多脾症候群に胆管癌を合併した1例を経験したので報告する.症例は48歳の女性で,検診にて十二指腸狭窄を指摘され,精査加療目的に当院紹介,精査にて胆管癌と十二指腸狭窄の診断となり,亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.術中,十二指腸前門脈・膵尾部欠損・分葉状多脾を認めた.また,画像上,奇静脈連結を伴った肝部下大静脈欠損も伴っていた.術後,右大腿静脈より挿入した中心静脈カテーテル感染により感染性血栓症に進展し,抗菌剤治療・抗凝固療法が必要であった.病理の結果,膵癒合不全に合併した早期胆管癌であった.

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