2011 年 72 巻 2 号 p. 500-504
腸間膜原発平滑筋肉腫は比較的まれな疾患であり,免疫組織学的に診断された本疾患の本邦での報告例は自験例を含め9例である.今回われわれは急速な発育を示し,免疫組織学的に小腸腸間膜原発平滑筋肉腫と診断された1例を経験したので報告する.症例は70歳代,男性.平成21年6月,腹部膨満感を主訴に当院内科受診.下腹部に巨大な腫瘤を触知し,腹部CTにて骨盤内に約120mm大の腫瘤を認めた.諸検査にて後腹膜または腸間膜原発の非上皮性悪性腫瘍を疑い腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は小腸腸間膜より発生しており,小腸と膀胱への浸潤を認めた.病理組織学的に好酸性の強い細胞質を有する紡錘型細胞が束を作って錯綜配列を示し免疫組織学的に腫瘍細胞はα-SMA,Desminに陽性を示し,c-kit,CD34,S-100には陰性を示したため平滑筋肉腫と診断した.