2011 年 72 巻 5 号 p. 1091-1096
早期胃癌に対する腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)は広く普及してきている.教室においてLADGが施行された早期胃癌100例を対象とし,同時期に行われた開腹幽門側胃切除術(ODG)76例と治療成績を比較検討した.また,術前のbody mass index(BMI)によりLADG症例を肥満群と標準群に分類して肥満の影響を解析した.ODGと比較してLADGは有意に出血量が少なく(P<0.0001),有意にイレウスの合併が少なかった(P=0.0113).胃癌の再発率には有意差はなかった.BMIがLADGに与える影響は,標準群に比較して肥満群で手術時間が有意に延長し(P=0.0319),出血量も有意に多かった(P=0.0009).LADGはODGと比較して安全性,腫瘍学的妥当性において遜色は認められず,早期胃癌に対する標準的治療として推奨され得る術式であることが示唆された.