日本臨床外科学会雑誌
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症例
両側副腎転移を伴った原発性小腸未分化癌の1例
荒瀬 光一日暮 愛一郎山田 壮亮山口 幸二
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2011 年 72 巻 5 号 p. 1156-1161

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抄録

症例は65歳,男性.腹痛・高度の貧血を主訴に当院入院.血液生化学検査で貧血・CRPの上昇を認め,腫瘍マーカー(CA19-9)の上昇を認めた.腹部CT・腹部MRIで小腸壁肥厚を伴う腫瘤像を認め,両側副腎に転移を疑う腫瘤性病変を認めた.小腸腫瘤性病変からの出血が貧血の原因と診断し,緊急手術を施行した.開腹所見ではTreitz靱帯から20cmの空腸に下行結腸浸潤を伴う腫瘤と腸間膜リンパ節転移を認めたため,小腸・下行結腸部分切除術を施行した.両側副腎腫瘍は遠隔転移と診断し,根治的切除は困難と考え切除しなかった.病理組織学的には異型性の強い細胞を認め,免疫染色では上皮系マーカーのCAM5.2・AE1/AE3,間葉系マーカーのvimentinのみが陽性で,原発性小腸未分化癌と診断した.原発性小腸未分化癌の報告は少なく極めて稀である.今回われわれは,両側副腎転移を伴った原発性小腸未分化癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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