日本臨床外科学会雑誌
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原著
高度進行胃癌に対する審査腹腔鏡の診断能と臨床的意義
矢口 義久辻本 広紀松本 佑介吉田 一路高畑 りさ熊野 勲藤野 啓一小野 聡市倉 隆山本 順司長谷 和生
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1355-1359

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抄録

目的:高度進行胃癌に対して審査腹腔鏡を施行した症例を対象として,その診断能と臨床的意義に関して検討した.対象と方法:高度進行胃癌に対し審査腹腔鏡を施行した40例を対象とした.全身麻酔下に術前検査として施行し,腹膜播種の有無,肝転移の有無,原発巣の他臓器浸潤の有無を確認し,ダグラス窩より腹腔洗液を採取した.結果:審査腹腔鏡を行った40例中16例(40%)でP1あるいはCY1であった.手術に至った症例は30例(75%)で,R2手術が5例あった.審査腹腔鏡にて腹膜播種と診断できなかったものが2例,転移リンパ節局所浸潤高度にて根治切除不能2例,CY1で根治術を断念した症例が1例であった.結語:高度進行胃癌に対する審査腹腔鏡は,治療方針を決める上で有用であるが,一方で開腹時に審査腹腔鏡で診断し得なかった非根治因子を認めることがあり,その診断能をさらに高める工夫が必要であると思われた.

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© 2011 日本臨床外科学会
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