日本臨床外科学会雑誌
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症例
エストロゲン受容体が境界域を示した乳腺腺様嚢胞癌の1例
沖田 充司藤村 昌樹千野 佳秀田畑 智丈熊野 公束向所 賢一
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1394-1399

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抄録

症例は70歳,女性.検診マンモグラフィ(MMG)異常で当院を受診した.左乳房AE領域に約1cmの腫瘤を触知した.超音波検査では1.1cmの分葉状,内部不均一,境界比較的明瞭な低エコー充実性腫瘍を認めカテゴリー4,MMGで卵円形,やや高濃度の辺縁微細鋸歯状腫瘤を認め,カテゴリー4と診断した.細胞診陰性で切除生検を行い腺様嚢胞癌と診断した.胸筋温存乳房切除術と腋窩リンパ節郭清(レベルI)を施行した.最終病期はT1bN0M0 stageIで,ホルモン受容体はER境界域,PgR陰性,HER2スコア0であった.術後1カ月目からアナストロゾールを服用し,11カ月経過した現在再発を認めていない.まれなエストロゲン受容体が境界域を示した乳腺腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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