2011 年 72 巻 6 号 p. 1405-1408
症例は82歳,男性.頸部食道の魚骨(鯛)を摘出後に緩徐に発症した降下性壊死性縦隔炎で,CT検査で食道背側に頸部から気管分岐部まで連続する膿瘍形成を認めた.頸部経路で縦隔鏡による直視下にドレナージ術を行い,術後に生理食塩水での洗浄を続けて第15病日に縦隔ドレーンを抜去した.本法は低侵襲で,従来の頸部アプローチ法や胸腔鏡下手術を含めた胸腔アプローチ法に比べて安全でかつ正確なドレナージが可能であるため,降下性壊死性縦隔炎に対して有効な術式であると考えられた.