日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断した下結腸間膜窩に生じた右傍十二指腸ヘルニアの1例
安田 貴志河村 史朗島田 悦司鈴木 知志黒田 大介
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1584-1588

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抄録

症例は67歳,男性.右上腹部痛を主訴に当院受診し精査加療目的で入院.入院後胆汁性嘔吐あり.右上腹部に比較的限局した反跳痛を認めた.腹部単純CT検査で,上腸間膜動静脈腹側で口側かつ肛門側を絞扼されて円弧状の境界を持ちながら嚢状に拡張した小腸を十二指腸水平脚腹側の右側腹部に認めた.傍十二指腸ヘルニアによるイレウスと診断し緊急手術を施行した.Treitz靱帯の右側の横行結腸間膜根部に入口径2cm大のヘルニア門が存在し,ここにTreitz靱帯から70cm-100cmの空腸が上行結腸後方に右向きに嵌入しており,このヘルニア門は下結腸間膜窩と考えられた.嵌入していた腸管を用手的に整復してヘルニア門を縫合閉鎖した.極めて稀な下結腸間膜窩に発生した右傍十二指腸ヘルニアの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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