日本臨床外科学会雑誌
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症例
外傷性腹壁ヘルニアの1例
日野 佑美向田 秀則杉山 陽一多幾山 渉
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1595-1597

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抄録

外傷性腹壁ヘルニアは比較的稀な疾患である.今回,外傷直後に腹壁ヘルニアを認め,待機的に手術を施行した1例を経験したので報告する.症例は67歳,男性.作業中に転倒し腹部を竹の切り株で強く打撲した.その後同部位が膨隆してきたため同日当院の救急外来を受診した.左側腹部に皮下出血を伴う4cm大の柔らかい膨隆と3×3cm大の腹壁脆弱部位を触知した.腹部CT上,左側腹部の膨隆部には皮下に小腸の脱出を認め外傷性腹壁ヘルニアと診断した.用手還納は容易に可能であり,消化管穿孔や出血の所見も認めなかったため,後日待機的にヘルニア修復術を施行した.ヘルニア門は3×3cm大と小さく周囲組織には十分な強度があったため直接縫合し修復した.

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© 2011 日本臨床外科学会
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