日本臨床外科学会雑誌
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症例
成人の横隔膜下inflammatory myofibroblastic tumorの1例
根岸 宏行小泉 哲嶋田 仁朝倉 武士中野 浩船津 美恵子大坪 毅人
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2011 年 72 巻 7 号 p. 1734-1738

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抄録

成人の横隔膜下に発症したinflammatory myofibroblastic tumor(IMT)の1例を経験したので報告する.症例は45歳,男性.左季肋部痛を主訴に受診.CT上,左横隔膜と肝外側区域境界部に中心膿瘍を伴う辺縁やや不明瞭な腫瘍として描出された.左横隔膜原発で肝浸潤を伴う,あるいは肝原発で横隔膜浸潤を伴う腫瘍と診断し,左横隔膜・肝外側区域部分切除・心嚢合併切除術施行.腫瘍は肉眼的に肝臓と横隔膜の間に存在し,大きさは8.0×7.0×3.0cmであった.割面上,腫瘍は白色で中心部には膿瘍形成が見られた.組織学的には肝臓と横隔膜の間に壊死を伴う肉芽腫様病変の像が見られ,その周囲に異型紡錘形細胞の増生が認められた.腫瘍は横隔膜および肝臓に拡がっており,心嚢まで腫瘍が進展していた.免疫組織化学的所見によりIMTと診断された.成人の横隔膜と肝左葉の間に発生したIMTであり稀な症例であった.

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© 2011 日本臨床外科学会
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