日本臨床外科学会雑誌
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症例
絞扼性イレウスを合併し腸切除を要した小腸型Chilaiditi症候群の1例
荒瀬 光一末田 愛子飯坂 正義柴田 宗征井上 克彦
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2011 年 72 巻 7 号 p. 1748-1752

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抄録

消化管の一部が右横隔膜下と肝臓の間に嵌入した病態をChilaiditi症候群と呼ぶ.今回われわれは絞扼性イレウスを合併し腸切除を要した,小腸型Chilaiditi症候群の1例を経験したので報告する.症例は52歳女性,腹痛・嘔吐にて当院受診.CTで絞扼性イレウスを合併した小腸型Chilaiditi症候群と診断し,同日緊急開腹術を施行した.開腹所見では肝右葉表面と右横隔膜下との間に小腸が嵌入し,絞扼していた.嵌入小腸を整復したが,壊死小腸の切除を要した.Chilaiditi症候群は大多数が結腸のみの嵌入で,無症状であれば経過観察される場合が多い.しかし小腸型Chilaiditi症候群の場合は,イレウスの合併による緊急手術の必要性を考慮に入れた慎重な経過観察が必要と考えられる.

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