抄録
内ヘルニアによる絞扼性イレウスは,診断が遅れ手術時期を逸した場合,腸管壊死に陥る重大な疾患である.今回,それぞれ異なる経過をたどり手術により良好な結果を得た大網および横行結腸間膜の異常裂孔への内ヘルニアによる絞扼性イレウスを3症例経験したので報告する.症例1は67歳男性で,術前造影CTで絞扼性イレウスと診断し,手術を施行した.小腸が大網にできた異常裂孔に嵌頓しており,同部位を切除した.症例2は55歳女性で,イレウス管造影で回腸に狭窄部を認め,手術を施行した.回腸の虚血性変化と大網の異常裂孔を認めたが,絞扼は解除されていた.症例3は,73歳女性で,胆汁性嘔吐が続き,上部消化管造影で空腸閉塞と診断した.手術所見は小腸が横行結腸間膜の異常裂孔より網嚢内へ嵌頓し絞扼されていた.内ヘルニアは一般に無症状なこともあり,診断に苦慮する場合が多い.有症状時に造影CTや上部消化管造影などの画像診断を詳細に検討することが重要である.