日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳腺腫瘍と鑑別を要した肋骨原発軟骨肉腫(径10cm)の1例
和久 利彦勝部 亮一大多和 泰幸佐藤 直広神原 健剱持 雅一
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キーワード: 軟骨肉腫, 肋骨, 乳腺腫瘍
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2011 年 72 巻 8 号 p. 1959-1963

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抄録

72歳,女性.3年前より右乳房の膨隆を自覚していたが放置していた.近医にて右乳房の腫瘤を指摘され精査目的にて当院へ紹介となった.右乳房に10cmを超える腫瘤があり,皮膚への浸潤傾向はなく,疼痛もなかった.マンモグラフィでは10cmを超える低濃度,辺縁境界明瞭な腫瘤内に石灰化を認めた.乳房MRI検査では肋間筋への浸潤が疑われた.穿刺吸引細胞診では診断できなかった.以上より,右乳腺腫瘍の疑いで手術を施行した.腫瘍は,第5肋骨の1cmの部分から乳房を胸腔外方向へ圧排しながら発育していた.腫瘤摘出,肋骨・胸骨の部分切除,胸壁再建を行った.病理組織所見では,核異型がごく軽度で,核分裂像も見つからず,中心部近くでは既存の骨梁を破壊していたことより,gradeIの軟骨肉腫と診断した.乳房直下の胸壁より胸腔外方向へ発育する軟骨肉腫症例があることを認識し,乳腺腫瘍との鑑別をすべきである.

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© 2011 日本臨床外科学会
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