日本臨床外科学会雑誌
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症例
肺良性淡明細胞腫瘍の1例
藤田 敦中里 宜正橘 啓盛平方 智子柳田 康弘
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2011 年 72 巻 8 号 p. 1993-1998

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抄録

症例は52歳,女性.左乳房腫瘤を指摘され当院を受診した.左乳房に30mm大の腫瘍が認められ,生検にて浸潤性乳管癌と診断された.PET-CTにて左乳腺および左腋窩にFDGの集積が見られた.また,左肺S10に9mm大の結節が見られた.肺結節にFDGの集積は見られなかったが,乳癌の転移性肺腫瘍が疑われた.病期判定のために確定診断が必要と判断され,胸腔鏡下左下葉部分切除術を行った.病理所見では,明るい細胞質を有する立方状から多角形の腫瘍細胞が充実性に認められた.免疫・特殊染色では,S-100が陽性でHMB-45とサイトケラチンとCD10が陰性であった.形態および免疫染色の結果より,肺良性淡明細胞腫瘍と診断された.肺良性淡明細胞腫は比較的稀な腫瘍である.自験例を含めた本邦報告例32例を集計して報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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