日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳腺の偽血管腫様過形成の1例
藤島 則明浜口 伸正谷田 信行大西 一久山井 礼道藤原 聡史黒田 直人
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2219-2224

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抄録

乳腺の大きな偽血管腫様過形成pseudoangiomatous stromal hyperplasia(PASH)の1例経験したので報告する.症例は28歳,女性.急速に増大する左乳房腫瘤を訴え来院した.大きさ8cmの弾性硬,可動性良好の腫瘤を触知した.マンモグラフィ,超音波検査,MRI,吸引細胞診では葉状腫瘍が疑われた.腫瘤は大きく摘出術を行った.7.5×7.0cmの境界明瞭な白色調の腫瘤で間質細胞の増生,偽血管腔様の構造もみられた.上皮成分の増生はみられなかった.免疫染色では間質の紡錘形細胞はα-SMA,CD34陽性,h-caldesmon陰性で,空隙面はCD34,CD31,FactorVIII陰性でPASHと診断された.PASHは稀な疾患であり,葉状腫瘍,血管肉腫との鑑別に注意を要する.若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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