日本臨床外科学会雑誌
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症例
肺原発滑膜肉腫の1例
小島 雅之本山 健太郎中房 祐司中村 勝也田中 雅夫
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2252-2256

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抄録

症例は67歳,女性.既往歴に特記すべきことはない.2007年6月の胸部X線で右中肺野に35mm大の結節影を指摘され,精査加療目的で当科紹介受診となった.胸部CT,FDG-PET,気管支鏡検査で明らかな悪性所見は得られなかったが低分化な肺癌や肉腫などの悪性腫瘍が否定できないため,胸腔鏡補助下右肺中葉切除術を施行した.病理組織学的所見では紡錘形から類円形の核を有する腫瘍細胞が束状に配列し,密に増殖しており,免疫組織化学的にはvimentinが陽性であった.標本からのRT-PCRでSYT-SSX1融合遺伝子が確認され,単相線維型滑膜肉腫と診断した.手術後3年6カ月経過し,無再発生存中である.紡錘形細胞主体の腫瘍の術前診断は困難である.今回われわれは術後の遺伝子検索で確定診断した比較的稀な肺原発滑膜肉腫の1例を経験したので報告する.

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