日本臨床外科学会雑誌
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症例
妊娠中に切除した横行結腸癌の1例
福岡 達成西口 幸雄井上 透山下 好人有本 裕一池原 照幸
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キーワード: 大腸癌, 妊娠, 悪性腫瘍
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2332-2337

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抄録

症例は41歳,女性.妊娠28週目に腹痛を認めたため,前医を受診した.精査にて横行結腸癌を疑われたため,当科紹介となった.大腸内視鏡検査にて横行結腸腫瘍を認め,生検にてtub2と診断された.明らかな遠隔転移は認めなかったため,産科医および小児科医との相談の上,妊娠29週であることから,帝王切開術および横行結腸切除術を施行した.帝王切開にては1,280gの女児(Apgar score 8/9)を出産した.病理組織検査にて横行結腸癌(tub2,ss,n2,ly0,v1,H0,P0,M0,Stage IIIb)と診断した.妊娠中に消化器癌を合併する頻度は非常に少なく,なかでも大腸癌は妊娠10万例に1~2例といわれ,非常に稀である.治療方針は妊娠時期や患者および家族の意思を考慮する必要がある.今回妊娠中に切除した横行結腸癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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