日本臨床外科学会雑誌
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症例
開腹歴のない結腸間膜原発デスモイド腫瘍の1例
古屋 信二須貝 英光三井 照夫小山 敏雄
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2420-2424

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抄録

症例は49歳,女性,開腹歴・家族歴に特記事項なし.検診の腹部超音波検査で腹腔内腫瘍を指摘され当院を受診した.大腸内視鏡検査では結腸肝弯曲に壁外性の圧迫と粘膜の陥凹を認めた.注腸検査では結腸肝弯曲に壁外性の圧迫と粘膜の陥凹を認めた.CT検査では結腸間膜に6cmの腫瘍を認めた.以上より,腸間膜GISTの疑いで結腸部分切除術を施行した.病理学的所見では,α-SMA,CD34,S-100蛋白,c-kitは全て陰性であったが,β-cateninは陽性であった.以上より結腸間膜原発のデスモイド腫瘍と診断した.
デスモイド腫瘍は若年女性に多い線維性軟部腫瘍である.また,デスモイド腫瘍は家族性大腸腺腫症・Gardner症候群や開腹手術の既往例に発生することが多く,これらを伴わない症例は稀である.今回,家族性大腸腺腫・Gardner症候群の合併や腹部手術既往のない結腸間膜原発デスモイド腫瘍の1切除例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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