日本臨床外科学会雑誌
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症例
腎摘出10年後に小腸転移を認めた腎細胞癌の1例
渡邉 元己中野 昌彦守永 暁生日高 敦弘黒田 久志田中 将也檜垣 浩一
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キーワード: 腎細胞癌, 小腸転移
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2012 年 73 巻 1 号 p. 139-142

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抄録

症例は82歳,男性.10年前に腎細胞癌(stageIII)に対して右腎摘出術を施行した.今回は小腸腫瘍によるイレウスから消化管穿孔を起こし,緊急手術となった.病理結果から小腸腫瘍は10年前の腎細胞癌の小腸転移であることが判明した.術後は一時的にICU管理を必要とするも,次第に改善し,術後32日目に転院となった.小腸転移を伴った腎細胞癌は,検索した範囲で本邦では40例が報告されている.血行性に転移するため肺転移を伴うことが多いが,本症例のように肺転移が無いものはまれである.腎細胞癌は異時性に転移を起こすことがあり,腎摘出後も長期間の経過観察が必要である.消化管転移例は,一般的に予後不良だが,生存期間の延長・QOL改善のために手術も考慮すべきである.

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© 2012 日本臨床外科学会
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