日本臨床外科学会雑誌
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症例
血行性大腸転移切除後長期生存している胃癌の1例
廣瀬 友昭長谷川 洋坂本 英至小松 俊一郎久留宮 康浩法水 信治
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2012 年 73 巻 1 号 p. 55-58

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抄録

患者は71歳,女性.胃癌に対しD2郭清を伴う胃全摘術,脾摘出術を施行した.組織型はsignet ring cell carcinomaで,pT4a(SE),pN0,P0,CYX,M0,StageIIBであった.術後補助化学療法は行わなかった.初回手術4年2カ月後の注腸検査で下行結腸に全周性狭窄を認めた.組織生検では診断が得られなかったが,胃癌の腹膜播種による狭窄あるいは4型原発大腸癌と診断し,手術を施行した.術後病理組織学的検索にて,signet ring cell carcinomaと診断され,胃癌の血行性大腸転移と診断した.2回目手術後6年無再発生存しており,胃癌の孤立性血行性大腸転移は,切除により長期生存が期待できる可能性が示唆された.

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© 2012 日本臨床外科学会
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