抄録
症例は29歳,男性.食欲不振,全身倦怠感,嘔気を主訴に受診した.血液検査で貧血を認め,上部消化管内視鏡検査を行ったが,出血源は特定されず.腹部CTで先進部に腫瘍が疑われる空腸の腸重積を認め,腹腔鏡補助下空腸部分切除術を施行した.口側空腸が肛門側空腸に陥入し,腸重積の先端部にやわらかい腫瘍を認めた.腫瘍は,Treitz靱帯から肛門側30cmの空腸にあり,空腸部分切除を施行した.55×40×35mmのIsp腫瘍で,病理組織学的検査所見では大部分は管状腺腫であったが,粘膜内高分化腺癌を認めた.29歳と若年発症であり,Lynch症候群の可能性を考え,マイクロサテライト不安定性検査を施行したが,不安定性は認めなかった.小腸癌においてもadenoma-carcinoma sequenceによる癌化を示唆する貴重な症例であると思われた.