2012 年 73 巻 10 号 p. 2610-2615
症例は12歳,女児.腹痛と血便を主訴に近医受診した.下部消化管内視鏡と注腸検査で下行結腸狭窄を認め,生検で印環細胞癌と診断され,当院紹介受診した.下行結腸癌の診断で,腹腔鏡補助下結腸左半切除術を施行した.術中所見はDouglas窩に少量の黄色腹水と腹膜播種結節を認め,細胞診ではClass Vだった.病理組織学的検査ではD,SE,N1,M0,P3,H0 Stage IVであった.術後化学療法として,FOLFOX+BV13クール,FOLFIRI3クール施行したが,術後1年で癌性腹膜炎が再燃し死亡した.小児結腸印環細胞癌は非常にまれであり,小児においても悪性を念頭に置いた診療が必要である.