日本臨床外科学会雑誌
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症例
甲状腺亜全摘術後に開放式ドレーンからの吸込みにより縦隔気腫を呈した1例
二萬 英斗池田 英二吉富 誠二辻 尚志黒田 雅利賀島 肇
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2012 年 73 巻 11 号 p. 2774-2777

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抄録
症例は67歳,女性.甲状腺癌に対し甲状腺亜全摘術,気管前傍リンパ節郭清を行った.術後に呼吸苦と胸背部痛があり,胸部単純X線写真,胸部CTで縦隔気腫と診断した.術中気道損傷を疑い同日再手術を行ったが,明らかな気漏部位は認めず,開放式ドレーンからの吸込みによる縦隔気腫と診断した.ドレーンを閉鎖式持続吸引ドレーンに入れ換えたところ,自覚症状,画像所見ともに速やかに改善した.
甲状腺手術後に開放式ドレーンからの吸込みによる縦隔気腫が稀に生じる.特に郭清操作が縦隔内まで及んだ症例ではより吸込みによる縦隔気腫を起こしやすいと思われる.逆行性感染により縦隔炎を合併したり,緊張性縦隔気腫を呈したりすると致死的になり得る合併症であり,このような症例では閉鎖式持続吸引ドレーンが縦隔気腫の予防に適しており有用と考えられた.
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© 2012 日本臨床外科学会
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