日本臨床外科学会雑誌
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症例
閉塞性黄疸で発症した膵十二指腸動脈瘤の1例
西村 充孝西平 友彦山岡 竜也井上 英信石川 順英廣瀬 哲朗
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2012 年 73 巻 11 号 p. 2946-2950

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抄録

閉塞性黄疸で発症した膵十二指腸動脈瘤の1例を経験した.われわれが検索したところ,黄疸を伴う膵十二指腸動脈瘤の手術報告は1例であった.症例は62歳男性.腹痛と黄疸を主訴に受診.血液検査で総ビリルビン値が7.9mg/dlと上昇.MRCP,ERCで下部胆管が壁外性圧迫で狭窄し,ダイナミックCTで強く造影される約4×3cmの腫瘤性病変を認めた.3D CT angiographyで膵十二指腸動脈瘤による閉塞性黄疸と診断し,まずコイル塞栓術を試みたが膵十二指腸動脈の蛇行のためカニュレーションできず手術適応と考えた.画像所見を十分に検討し手術に臨んだが,動脈瘤への流入血管のすべてを把握できておらず,術中操作に難渋し術前に検討していた動脈瘤切開術を動脈瘤切除術に変更せざるを得なかった.腹部内臓血管の走行は複雑で,腹部内臓動脈瘤の手術は術中画像診断機器の積極的な活用も含めた十分な血管走行の把握が肝要と思われた.

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