日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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原著
肝移植術後の腹壁瘢痕ヘルニアに関する検討
田中 史朗高槻 光寿曽山 明彦日高 匡章江口 晋
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2012 年 73 巻 12 号 p. 3026-3030

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抄録

生体肝移植術後は部分肝移植であるため腹水量が多く腹壁瘢痕ヘルニアをきたしやすいと言われるが,詳細な報告はない.2004年以降に当科で初回の生体肝移植術を行った成人94症例を対象に原疾患や性別,body mass index(BMI),model for end-stage liver disease(MELD)score,血液型組み合わせ,標準肝容積に対するグラフト占有率,腹水量,創感染,糖尿病の有無,急性拒絶の有無の因子別に瘢痕ヘルニア発生率を検討した.94例中の12例(12.8%)に瘢痕ヘルニアをきたし全例が男性で7例がBMI高値であった.また,創感染を認めた3例中2例で瘢痕ヘルニアをきたした.その他の因子での検討では瘢痕ヘルニア発生に有意差を認めなかった.肝移植術後の瘢痕ヘルニア発生は高率で男性やBMI高値,創感染が有意な危険因子である.

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© 2012 日本臨床外科学会
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