2012 年 73 巻 7 号 p. 1691-1694
症例は76歳男性で,1997年5月胃体下部の3型進行胃癌のため胃全摘術,脾臓合併切除術,2群リンパ節郭清を施行し,病理組織診断にて根治術と判定された.術後補助化学療法を施行したが,術後1年1カ月で左鎖骨上にリンパ節腫脹を認めた.ほかに再発所見がなかったことからリンパ節を2個切除した.病理組織診断では胃癌の転移であり,Virchowリンパ節転移と診断された.引き続き化学療法を行ったが,術後1年5カ月で同部位にリンパ節再発を認め,2個摘出し胃癌の転移であった.さらに術後2年10カ月に同様のリンパ節再発を認め,3回目の手術を行い3個のリンパ節を切除した.以後再発を認めず再発後12年8カ月を経て無再発生存中である.胃癌のVirchowリンパ節転移の中には,本症例のようにVirchowリンパ節転移単独再発例があり,手術を含めた集学的治療にて長期生存を得る可能性が示唆された.