日本臨床外科学会雑誌
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症例
FDG-PETで高集積を示した膵神経鞘腫の1例
石川 順英山岡 竜也西平 友彦西村 充孝井上 英信廣瀬 哲朗
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2012 年 73 巻 7 号 p. 1786-1790

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抄録

嚢胞状でFDG-PETで高集積を示した膵神経鞘腫の1例を経験した.症例は79歳の男性で肉眼的血尿精査目的に受診した.CTで造影効果が不均一な低吸収域を示す膵頭部腫瘍が指摘された.超音波検査では5×5cm,境界平滑,充実性と嚢胞性部分の混在する腫瘤を認め,MRIT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号・低信号が混在して描出された.FDG-PETで膵頭部にリング状の集積を認めた.亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し,同時に左腎盂癌とS状結腸癌の根治手術を施行した.肉眼所見は大きさ5×4.5×3cm,黄褐色で3分の2が膵実質に覆われ,内部に出血壊死や嚢胞形成を認めた.組織像は紡錘形細胞が束状に配列する領域と細胞成分が乏しく拡張した血管が多数みられる領域が混在し,免疫染色でS100陽性で神経鞘腫と診断した.まれであるが膵原発神経鞘腫は膵嚢胞性腫瘍の鑑別診断の1つに含まれるべきであると思われた.

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