日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後にtoxic shock syndromeを発症した乳癌の1例
小川 憲人中川 剛士佐藤 隆宣杉原 健一
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2013 年 74 巻 1 号 p. 27-31

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抄録

症例は47歳,女性.右乳癌(TisN0M0)に対する胸筋温存乳房切除術,センチネルリンパ節生検後2日目に発熱,嘔吐,下痢が出現した.術後3日目には全身のびまん性紅斑,咽頭痛,イチゴ舌,血圧低下を認めたため,toxic shock syndromeが疑われた.十分な輸液,抗生剤の投与に加え,創部のドレナージ,創部およびドレーン排液の培養を行った.培養で黄色ブドウ球菌が検出され,toxic shock syndrome toxine-1産生株であり,TSSと診断した.経過中に肝機能障害,急性腎不全,血小板減少をきたしたが,治療が奏効し軽快した.本疾患は死亡例も報告されており,早期に治療を行うことが重要である.術後に39℃以上の発熱,びまん性紅斑,ショック,下痢,嘔吐などをきたした症例ではtoxic shock syndromeを疑い,早期に治療を開始する必要があると考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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