抄録
症例は67歳,男性.下咽頭癌の診断で耳鼻咽喉科にて加療中であった.声門狭窄のため気管切開を施行,経口摂取困難となり,腸瘻造設術を施行した.術後1日目より,液体半消化態栄養剤による経腸栄養を開始し(400ml/日,33ml/hr),1日あたり400mlずつ増量した.術後4日目に下痢,および腸瘻チューブ刺入部から右下腹部にかけての圧痛を認め,腹部CTで,門脈ガス血症・腸管気腫・腹水貯留を認めた.身体所見・血液検査所見より,腸管壊死は否定的と判断し,直ちに経腸栄養を中止し,保存的治療の方針とした.翌日も腹痛が遷延,尿量の減少も認めたため,腸管壊死の除外目的に審査腹腔鏡検査を施行したところ,明らかな異常所見は認めなかった.術後12日目のCTで門脈ガス血症の消失を認めた.経腸栄養に伴う門脈ガス血症は稀な合併症であり,文献的考察を加え,報告する.