日本臨床外科学会雑誌
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症例
横行結腸間膜裂孔ヘルニアによるS状結腸絞扼性イレウスの1例
加藤 綾佐伯 博行藤澤 順松川 博史利野 靖益田 宗孝
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2013 年 74 巻 10 号 p. 2803-2807

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抄録

症例は81歳男性で,腹痛を主訴に当院を受診した.開腹歴はなかった.腹部に圧痛と筋性防御を認め,腹部単純X線でイレウス像を認めた.CT検査でS状結腸の拡張とS状結腸間膜の血管の渦巻き像を認めた.S状結腸軸捻転を疑い下部消化管内視鏡検査を施行したところ,S状結腸の狭窄とその口側粘膜の壊死像を認めたため,緊急手術を行った.開腹所見では横行結腸間膜に8cmの異常裂孔を認め,そこにS状結腸が嵌入し壊死していた.S状結腸を切除し裂孔を閉鎖した後,人工肛門を造設した.腸間膜裂孔ヘルニアの多くは小腸間膜裂孔ヘルニアで,横行結腸間膜裂孔ヘルニアは比較的まれである.ヘルニア内容はほとんどが小腸で,S状結腸が嵌入することは極めてまれである.今回,われわれは横行結腸間膜裂孔ヘルニアによるS状結腸絞扼性イレウスの1例を経験したので報告する.

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