日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断した腸回転異常症を伴う成人急性虫垂炎の1例
今泉 理枝網木 学松本 卓子河野 至明小池 太郎本田 宏
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2013 年 74 巻 12 号 p. 3359-3364

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抄録

腸回転異常症は胎生期の腸管の回転・固定の過程における先天性奇形である.今回,われわれは腸回転異常症に穿孔性虫垂炎を合併した成人例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は77歳男性で,左側腹部痛,40℃の発熱が出現し近医入院.その後,腹部膨満も出現しイレウスの診断にて当院へ救急搬送となった.腹部CT上,腸回転異常症,穿孔性腹膜炎を伴った虫垂炎と診断し緊急手術を行った.開腹時左側に偏位した回盲部と穿孔した虫垂を確認し,虫垂切除・洗浄ドレナージを施行し,術後19日目に退院となった.腸回転異常症患者の虫垂炎は非典型的な腹部症状を呈するため,診断に苦慮することが多い.臨床の場で急性腹症に接した際,腸回転異常症等による腸管の位置異常の可能性も念頭に置き,慎重な姿勢で臨むべきであると考える.

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© 2013 日本臨床外科学会
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