日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
維持透析患者乳癌に対する治療の検討
三野 和宏田村 元正司 裕隆小丹枝 裕二片山 知也今 裕史
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キーワード: 血液透析, 乳癌, 化学療法
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2013 年 74 巻 3 号 p. 622-626

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抄録

維持透析中に発症した乳癌の治療は,患側のvascular access,薬物療法という問題があるため慎重に行う必要がある.今回,維持透析中に発症した乳癌に対して治療を行った4症例の検討を行った.
症例は50歳~75歳の女性で,1例は患側に内シャントがある症例であった.手術に関しては乳房は全摘と温存,腋窩リンパ節は郭清症例とセンチネル生検症例が含まれていた.手術時間は53分~143分で,出血量は全例少量であった.抗凝固剤は,術後初回のみメシル酸ナファモスタットを使用した.術後補助療法として全例に通常量のホルモン療法を行い,1例で通常量のtegafur/uracilを追加投与した.乳房温存症例に対しては通常量の放射線を照射した.術後1年1カ月~5年3カ月経過した時点で,いずれの症例も透析関連のトラブルはなく,無再発生存中である.

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© 2013 日本臨床外科学会
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